士業エドテンセイ.com 隠れ蓑 神凪ノ杜 妖狐奇譚  感想 忍者ブログ
乙女ゲーやシチュCDの感想諸々
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雨の季節にピッタリな、しっとりとした雰囲気の作品です



・シナリオ
ボリュームは初回3時間ほど、2人目以降は2時間程度でクリアが可能です
章選択の便利さも有り、バッド回収も楽だし細かい差分等も無いのでフルコンにはそう時間はかかりません
描写がちょっとあっさり気味なのは否めない。特に恋愛や本筋とあまり関わりの無いシーンでの描写の薄さが気になった
共通中盤で主人公がクラスメイトの着けているブレスレットに嫌な気配を感じ、それを宋太に相談。確認の為にこっそりブレスレットを拝借して屋敷にいる仲間にも相談し、無事その嫌な気配を消してもらう、という流れが有るんだけど、ここでのあっさり感が特に気になりました
その嫌な気配の元となったのはブレスレットの送り主の強い気持ち、という説明は有ったが、それは誰なのか、どういう感情をクラスメイトに向けていたのか、そして第三者によって気配が消された事で送り主に何か影響は無いのか。そう言った事の説明は全く無いまま終わってしまう
ブレスレットをクラスメイトに返したという描写も省かれているし、いくら恋愛や本筋と関わりが薄い部分とはいえもう少しちゃんと描写してほしかった…というのが正直なところ
この部分以外にもチラホラとそう言うシーンが有ったので、少々残念でした
ただシナリオのメインテーマはとても好き
体験版でも分かる事ですが、話の本筋で起こる問題とは別に、主人公も含め登場人物はみんな何かしら心に傷を負っています。そしてそれの解決を個別ルートで……という事にはならない
主人公と共に過ごす事でその問題への上手な対処法や受け入れ方を身に着け、気持ち的には楽になる事が出来ていますが、根本的な解決にまでは至らない。必ずどこかに問題が残ったままエンドを迎える
「どうにも出来ない、解決できない関係は有る」「辛い事も苦しい事も有る」という前提の上で「でもその経験も無駄にはならない」が共通したテーマなんじゃないかと思います
全ての問題をまるっと解決する作品も好きですが、それを成り立たせるためには主人公にも攻略対象にもアグレッシブさや強烈なポジティブさ、メンタルの強さが足りていません。彼らはきちんと地に足の着いた普通の人間です。そのキャラクター性としっかり合っているお話の纏め方でした
また、家族間の関係も大きな要素になっています。とあるキャラの「親子の縁と言うものは良くも悪くも絶対的で、だから裏切られても愛してしまうし愛されたいと願ってしまうのかもしれません」という台詞が直・宋太ルートを象徴している様でとても印象に残っている
話の本筋の方で起こる問題は、一先ず目下の問題は解決します。ただもっと大きな問題と言うか、シナリオ上の疑問は残したままです。例えば主人公の両親と祖父の関係だとか、村に残る伝承の事だとか。恐らくは後編で回収されるんでしょうが、その分ちょっと物足りなさは有るかもしれない

・システム
市丸にのみ制限がかかっています
私は宋太→直→市丸の順でプレイし、市丸の制限は宋太・直クリアで解除されましたが、内容的にはもしかしたら直のみクリアでも良いのかもしれない
なんにせよ市丸を初回で、と思っている方はご注意を
UIは体験版通りで、基本的なものは揃っています。ジャンプ機能も有りますし、特に不満は有りません
ただお遊び要素は少ないですね。デザインも非常にシンプル。作風と合っていると言えばそうですが、もう少し何か欲しかったかな
おまけとしてのSSには満足です。攻略対象視点は最高



以下ネタバレです




拍手[2回]




・沢木宋太
紬の言う「86点の宋太くん」が他者からの彼の印象そのものなんだろうなぁ
成績優秀でスポーツも万能、誰にでも優しくて、気遣いが出来て、空気も読め、みんなの人気者。でも相手に深く踏み込んではこない
彼がそういう風に育った事に対して納得しか出来ないのがまた切ない
元々は普通の家庭だったんでしょうが、それでも母親の兄贔屓は有っただろうし、そんな中で上手に過ごそうとした結果そうなったんだろうなぁ
拗ねたり甘えたりするのが下手くそなのも、小さい頃にそれが出来ないまま育ってしまったからなんだろうと思うと切ないですが、ED後は瑞希に対してだけはそれが徐々に出来る様になっていっているみたいでほっとしたし萌えた
ただ彼のルートでは狐憑きや黒雨問題の扱いが薄かったのが残念です
1周目にプレイしたので他もこんなもんかな?と当初は思っていましたが、直・市丸はしっかりその辺絡んだ話だったのでなんとも
一応狐憑きネタは有りましたが、黒雨問題にはノータッチだったのでちょっと話の本筋から蚊帳の外状態なのが否めない
恋愛要素や彼の家族問題の描写がメインだった、とは言えもう少しどうにかして欲しかった
テーブルクロス盗難問題での彼の一歩引いた態度は母親に対してのものと似通っていて切なかったですが、瑞希と共に立ち向かう事が出来たので良かったです。ED後も相変わらず母親はあんな感じでしょうが、ほんのちょっとずつでも良いから彼女にも変化が生まれていると嬉しい
瑞希が彼の自分を蔑ろにしがちな所にしっかりと踏み込んだのも良かったです。そういう風にされると寂しいとはっきり言われるというのは宋太にとってはとても大きい事だっただろうし。自分を想って、心配してくれている相手がいるという事がちゃんと伝われば彼の自己犠牲精神も和らいでくるでしょうし
オマケSSやステラ特典冊子での自分の欲の扱い方に戸惑う宋太は可愛らしかった。求めるという事に不慣れなんだろうけど、瑞希に対してはそう言う事を素直に出していってほしい


・仁科直
弟想いの良いお兄ちゃんですが、彼も彼で家庭内での大きな問題を背負ってしまっていて不憫
まだ幼い葵が母親に希望を抱いている事に対して、もう色々と察する事が出来る年齢の直は苦しさを感じていただろうし、それを吐き出す相手もいなかったのが辛い
母親は結局最後までどうしようもない関係のままでしたが、父親とは再び関係を結べたのは良かったです。その直後に別れる事になってしまったとしても、父親に対してのわだかまりがそのままにならないのは良かった
彼のルートでは黒雨問題も一応の解決をしますが、市丸クリア後思い返してみると市丸のその後をちょっと心配してしまう…。あくまで「封印」だから市丸の方は大丈夫なのかな…?
直の瑞希への態度は東雲が言う通り子供っぽいところがあって可愛らしくて好きです。普段は大人びていますが恋愛方面に関してはちょっと不器用で、本人としても自分が鈍感で察しが悪い自覚が有るのも可愛らしい
オマケSSでの独占欲の抱き方とシレッとデレる態度好き
彼のルートでは弟の葵の良い子っぷりと可愛さが特に際立っていましたね。どのルートでも本当に可愛かったけど、やっぱり直ルートでの葵は特に良かった
ED後、無事記憶を取り戻したという事は母親のあの態度も改めて思い出してしまった訳だけど、直や瑞希が一緒にいてくれるし大丈夫だと思いたい
このルートではバッドで直が味わう喪失感があまりにも大きいのが辛くて好き。弟も瑞希も自分を忘れてしまった時の直の孤独感たるや……EDムービーの不協和音が良い感じに胃に響きました


・市丸
違うと分かっているのに未だに人外だと勘違いしてしまう、と言いながらプレイしていたら本当に人外で笑った
制限がかかっている間はなかなか会話もしないし、他の二人の個別ルート中はほとんど出番も無いので正直印象が薄かったんですが、当人ルートではちょっとした意外さも見せてくる良いお兄さんだった
初めは一歩引いた態度ですが別に突き放す訳ではも無い絶妙なバランスだし、少し気を許してくると負けず嫌いメンタルが見えてくるのが可愛らしい
線香花火や日課の囲碁と言い、やっている事が見た目に反して可愛らしくて健全なのが良い
瑞希がお礼として朝ごはんを作った時のやり取りが特に好き。頭掴んで自分の顔を見せない様にするのには笑った
彼のルートでは東雲が度々邪魔しているのにも笑わせてもらった。内心大分イラッとしてそうな市丸と良くも悪くも空気を読まない東雲の組み合わせ面白い
お互いに徐々に絆されていく様子が分かりやすく、かつ可愛らしかったです。市丸自身もそうですが、瑞希の方も彼は冷たい人ではないし、むしろ優しい人だと認識が変わっていって、それが次第に恋愛感情に流れていくのがとても自然だった。ただ市丸が「俺の事が好きなのか」とストレートに聞いたのには笑った。もうちょっと手加減をしてあげて
黒雨の正体が分かってからの流れが切なくて好き。市丸と瑞希の関係も当然そうですが、市丸と文乃の関係も好きです。宋太オマケSSで日向が「お前は瑞希と同じ時を過ごせるから羨ましい」と言っていた事がここへきて刺さる
そしてそれが市丸と瑞希の関係にも関わってくる訳で、一体どうするのか…と思っていたので、瑞希が自分の魂の半分を市丸に与えるエンドには切なさを感じつつも、正直ホッとしました
瑞希が死んだあとひとり取り残されるのは嫌だと言った市丸も、市丸を失うのを嫌がった瑞希の事も同時に救えるエンディングで好き
老い先が短いという切なさは有りますが、尽きる時は同時なのでどちらか片方が残される事は無いので良かった
直・宋太とはまた少し違うテイストのエンディングでしたが、納得の出来る纏めなので良かったです




瑞希の叔母やおじいさんと両親の関係、そしておそらくは人柱として犠牲になったのにそれを伏せられている文乃など、残された謎はやっぱり後編へ持越しでしょうか
導入部分で瑞希が記憶を失っている為全然違う話の展開になるでしょうし、そう言う意味でも次が楽しみです


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