乙女ゲーやシチュCDの感想諸々
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ワンド2VFBでその存在に触れられてから約4年、間に予想外のワンド2FDが入ったとはいえなかなかに長かった感が有るレンドフルール
あまりにも待つ期間が長く、待っている事が当然となっていたので発売当日になっても正直全く現実味が無く、手に取ってようやく実感が湧いたレベルだった
そんな本作、予想以上に人を選ぶ内容となっています。ぶっちゃけ人に気軽に勧めるのはちょっと出来ないわってタイプの作品
・システム
基本システムはこれまでのオトメイトvita作品と変わらず、不便ではないが特別便利でもないいつも通りの感じ
UIはとても凝っていて、非常に世界観とマッチしていて好き。序盤に出てくるギャグ要素もそれ専用の立ち絵を用意してちゃんと演出しているのも嬉しい
肝心のラヴィールシステムですが、思っていたよりもシンプル…と言うか、別に難しいものではなかった
雑誌や公式を見ても全く意味が分からん…と思っていましたが、普通のノベルゲーに時間制限とボタン連打が追加されただけであり、そう構えるものではありません
事前の情報収集パートで誰に話を聞くか、或いはどこに行くかによってルートが分岐して、ラヴィール本番でのやり取りでパラメーターを調節する
通常のノベルゲーのただ選ぶだけの選択肢よりもよりしっかりとキャラの話を聞く必要は有るので、普段よりも集中力を使った気がする
ラヴィールの成否、そしてEDに関係は無くともそこでのやり取りの差によって後々の会話イベントに細かい差分が追加されるので、そう言う部分を見付けるのは地味に楽しい
ラヴィール中はQロードセーブ出来ませんが、その代わり×ボタン二度押しで最初からやり直す事が出来るので親切設計。ルイは反応の予想が難しかったのでこのシステムにはお世話になった
またラヴィール開始直前には毎度毎度「セーブしますか?」と聞いてくれるので、ここもなかなかに親切。ルート分岐用セーブデータの目印として活用させてもらいました
後もうひとつ重要なシステムが、双子蝶への金平糖のプレゼント
ラヴィール前の情報収集パートで、まずは双子蝶に誰に話を聞くのが良いか、またはどこに行くのが良いかを教えてもらいますが、金平糖未所持状態だと双子蝶も力が足りず集められる情報に限りが有ります
ラヴィール勝利時に貰えるポイントを使い、ショップに売っている金平糖を買う事でそのまま双子蝶にプレゼントする事が出来ます。そうすると双子蝶の力が増し、集められる情報も増えていきます
攻略情報が無い状態でプレイする場合、これがとても重要になってきます。なのでまずは金平糖です。金平糖を買うのです。ショップにはキャラのオマケ要素も売ってありますが、それは一先ず置いておいて金平糖最優先です
また、2部攻略勝利条件、キャラ個別(3部)勝利条件も同様にショップに売っているので、こちらも重要です
ラヴィール開始前に表示されるヒントが増え、攻略が楽になります。中には「ルートに入るためにはラヴィールのコマンド入力を失敗する必要が有る」場面も有ります。そんなもんノーヒントでプレイしてたら気付きようが無いと思うので、しっかり買っておくのをお勧めします
・難易度
愛情ED、忠誠EDを目指す場合はヒント通りにやれば特に難しい事は無いと思います
ただ細々としたバッドを拾うのは結構大変です。パラメーター調節がややこしい部分もあるし、そもそもバッドの数自体が多いのでそこでの微調整にも手間取りました
スチルもバッドで拾えたり、あえてラヴィールを失敗しないと拾えないものも僅かですが有るので、フルコンプを目指す場合は時間がかかると思います
トロフィーは更に手間がかかります。私も現段階でいくつか拾えていません。ここで拾うんだろうなぁという目途はたっても、必要選択肢がどれか分からず色々試している状態です
プラチナトロフィー獲得への道は結構長い
・ボリューム
1周目は合計9時間程かかりました。ラヴィールシステムに慣れるのに少し時間がかかったのも有って、思っていたよりも長かったかな
体感的に一番長かったのは第1部。キャラが揃い、各キャラ2回分のラヴィールを終え、ようやくシナリオが動き出す…トロフィーで「壮大なプロローグ」と表現されていたのには笑った
周回ではこの1部が丸々スキップ出来るので、2,3時間程度でEDまでたどり着けます
それも有ってか2周目以降は少しボリューム不足かな…?と言う感じも否めない
特に3部は(キャラによって差は有るけど)割とあっさりな印象
バッドはそれぞれとても多いです。ただ内容としてはどのルートも似たようなものなので、回収する大変さと見合うものが有るかと言われると正直微妙な部分も
ただ一部バッドは「おぉ…!」と興奮するようなものも有ったので、余裕があれば全部見てほしい
・シナリオ
問題はここです
過去プレイして「これは人を選ぶだろうなぁ~」と思った作品はそれなりに有りますが、その中でもぶっちぎりで人を選ぶ作品です
まず、完全に幸せと言えるEDが有りません。愛情グッドエンドですら、そこに至るまでの状況に色々有り、当人たちは受け入れて、その上で幸せだと感じていますが、同時に色々背負いまくっています。自分が幸せになる為、死なずに済むようにする為、ルートによっては意思を持って他キャラを殺したりしている
私の脳内BGMは完全にこの曲だった
攻略キャラと主人公のこういった行動をプレイヤーサイドが許容できるか否かに全てがかかってきます。これはもう人それぞれの価値観の問題だと思うので、第三者がとやかく言えた事じゃないので、余計難しい。気軽に販促なんて出来ぬ
一番幸せっぽい愛情エンドでこれなので、忠誠エンド、そしてその他のバッドはもっと凄い事になってます
何もかも解決してハッピーエンド!なんてものは有りません。大団円っぽいユベール恋愛エンドでも失う物は失っているので、本当の意味で大団円とは言えません
幸せなエンディングが少ない、或いは無い事に耐えられない人にはお勧め出来ない作品です
以下ネタバレ込みの感想。長いぜ!
キャラ個別の話に行く前に、まずはシナリオ面に関してもう少し
そもそもヴィオレットは女神ミレーヌの依代として育てられましたが、実際はそうではなく、女神復活の為のただの器です
ユベールの目的は女神復活。その為の器としてヴィオレットを育ててきただけだと、2部ラストで判明します
文字通り神であるミレーヌと、地上の人々にしてみたら神に近い存在でありつつも、所詮は傀儡の様なものだったヴィオレットの間にはどうあっても越えられない力の差が有ります。これはどんな場面でも揺るぎません
各キャラ恋愛グッドエンド、そして大団円っぽいユベール恋愛グッドエンドでもそこはブレない
「ヴィオレットと攻略キャラが頑張った結果、ミレーヌ以上の力を手にしてパルテダームも地上も救いました!」と言う事にはどう足掻いてもならない
その上で、ヴィオレットがどんな選択をし、場合によっては女神にその身を明け渡し自分の存在を殺したところで、待っているのは緩やかな崩壊です。そもそも限界が見えているこの世界は、恐らく遠くない未来消滅します。多分、ごく一部のEDを除いて
その崩壊するまでの間にヴィオレットが天寿を全うし幸せに死んで行く可能性もあるでしょうが、結局次の世代がまた同じ様に繰り返す事になるだろうなぁと思うと何とも言えない
ヴィオレットが自分を殺し、ミレーヌにその身を明け渡したところで、多少時間が伸びただけで結局世界は崩壊するんだと思います。少なくとも、地上はどんどん滅びていく。結局全てを救う事は到底出来ない
パルテダームの創造主であり絶対的存在である女神ミレーヌと、グラースと言う力の設定がある種の足かせになっている気がします
特にミレーヌはその存在が大きすぎてヴィオレットが越えてはいけない者になっているのがシナリオ上痛い。ひとつでも全力でスッキリ出来るEDが有ればよかったんだけど
地上の人々をどんどん殺していくことも賛否両論ポイントだと思うけど、これに関してはまぁ仕方ないよなぁと思います
ヴィオレットも騎士も、本人たちは神と自分たちは違う存在だと言っています。けれど地上の無力な人間の目から見たら女神の依代たるヴィオレットはもう殆ど神の様なものだし、その神の騎士となる4人も自分たちとは遠い、神の眷属の様なだと思います。実際やっている事は「地上の命の間引き」であり、ここだけ見たら神と何が違うのか?て感じです
ヴィオレットは命を奪う事に悩んではいますが、とは言えやらなきゃ世界が崩壊しちゃう。自分たちも死ぬし、当然地上の人間たちも死に絶える。じゃあやるしか道は残されていません。どうしようもない
なので、「地上の命奪っておいて自分は幸せになるなんて許せない!」という方は、この作品やらない方が良いです
あとこれはシステム面だけど、体をミレーヌに支配され(かけた)シーンで、見た目はヴィオレットのままミレーヌの声で喋るシーンが有ります
これは人によっては地雷になりかねない部分だと思うのでご注意を
私的にはだったら最初からヴィオレットCVゆかなとして全編収録してくれればいいのに!って思ったけれど。まぁそれじゃネタバレも何もあったもんじゃないんですけどね
・オルフェ
年下美少年枠でありつつも意外と男前で積極性のあるキャラだった
吟遊詩人として生活してきた彼は他の3人と比べるとやっぱり性格と言うか、物の見方が大きく違います
レーヌとしてのヴィオレットではなく、ただ一人の女性としてのヴィオレットを心配し、身を案じてくれます。これはルート序盤からブレず、他キャラのルートでも変わらないので彼への安心感は物凄い
ただの優しい人ではなく、「吟遊詩人の雇い主のお貴族は醜聞を嫌うから年頃の女性は避けた」「地上にいるころは空気を読む事が仕事みたいなものだった」とサラッと言ってのける所も良い。彼は優しくて情に篤いけれど、冷静に物事を見る事も出来る。上辺を取り繕う事にばかり慣れていると自称していただけのことはある
そんな彼がレーヌとしてヴィオレットが地上の人間を間引く必要が有り、心身ともにダメージを受けると理解して素直に憤るオルフェに私の好感度はギュンギュン上がって行った
記憶も無く、吟遊詩人として各地を転々としていたオルフェが籠の中の鳥と言う囚われた存在に憧れを抱いているのはある意味納得だった
育ててくれた老人以外、彼に特別な感情を抱いた人は多分いなくて、その事にオルフェ自身も自覚的で、誰かに縛られたい、必要とされたいとう想いが強い
だからこそ、自分の好意を自覚してからは攻めの姿勢だったんだな…と思うと天を仰ぐしかない
儚い見た目とは裏腹に男気が有って感情の表現が真っ直ぐなギャップ、素晴らしい
途中ミレーヌからオルフェは神の卵の様な存在だと告げられる。記憶が無いのはこれが理由だったらしい
最後の神であったミレーヌにとっては、オルフェは弟の様なもので、だからかこのルートの彼女は他のルートと比べるとオルフェにもヴィオレットにも割と優しいというか、好意的に見えた
神とは言え卵の様な状態の彼はまだ力が弱いけれど、それでもなにかしらの力が有ると分かって嬉しいと素直に語る姿にちょっとじんわりと来た。彼はとにかく、ヴィオレットの力になる事、彼女を救う事を考えてくれていると真っ直ぐに分かるのが良い
けれど結果として、ヴィオレットを救うための行動で、彼は花人を何人も殺してしまう
でもこれはあくまで事故であり、その後彼はヴィオレットも地上も救うために最後まで諦めない。これがオルフェの、そしてこのルートの良い所だと思う
オルフェが一人で行動に移ろうとした時、他の3人の騎士が間を取り持ってあげるのも良い
最終的に地上とパルテダームを切り離す事で、オルフェはヴィオレットも地上も救う事に成功する。グラースの供給が断たれた地上はこの先色々と大変だろうし、その地上で生活する事になったオルフェとヴィオレットも大変だろうけれど、まだ明るさの有る恋愛エンドだった
忠誠エンドの方はやはりと言うかなんというかバッドに近く、端的に言うとオルフェはヴィオレットを救うために消える事を選ぶ
それによりパルテダームは安定し、同時に地上も安定を得る。ウィエからは新たな騎士が選ばれ、もうすぐヴィオレットの元にやってくるという所で終る。恋愛エンド同様、忠誠エンドも他のキャラと比べると明るさが感じられる形だった
まぁそれでもオルフェはいない訳だけれど、演出・映像の美しさも有って割と納得のいくルートだった
・ギスラン
1部の段階でデレてるのを見た時は思わずチョロいな!?と呟いてしまった彼
堅物で何かと手間のかかる印象ですが、それでもある程度納得がいけば相手の意見も受け入れる柔軟さは有るのが良い
そもそも彼が何故序盤にヴィオレットにきつめに当たるのかと言うと、大きな理由のひとつに彼女が女性だから、と言うのが有ります
彼の祖国クリザンテームはその厳しい環境故、男は軍人として戦い、女はそれに守られつつ家を守るべし、と言う考えが強く、政の場に女性が出てくるなんて以ての外、と言うのが有ります
祖国の軍人としてのプライドが強い彼は当然この思想に染まり切っている為、女性な上主としての自覚がまだ足りていないこの時のヴィオレットに仕えるなんて断固として無理!と言う気持ちが強いです。祖国の環境上そう頑なになるのは割と納得の流れでした
それを聞いた上で、ヴィオレットが彼の考えを理解し歩み寄り、あなたに認めて貰えるよう努力すると言い切ったのが良い。そんな考えおかしい!と否定せず、受け入れた上でどうするか考えられる柔軟さがヴィオレットの良い所であり、だからこそギスランも早い段階でデレたのだ…
ヴィオレットを主として認めてからのギスランはデレがノンストップ(忠誠的な意味で)
これは本人ルートだけじゃなく、他ルートでもブレない。常に、どんな状況でもレーヌ・ヴィオレットの騎士であり続ける彼の頑なさが好き
彼は騎士の中で唯一、特別な素質と呼べるものが有りません。有るのはひとつだけ、「東の騎士は狂う運命にある」というもの
元々グラースの恵みが少ないクリザンテームは厳しい状況にあり、4代前の騎士の時に花紋が破損。その結果当時の騎士は狂い、その蝶である褄紅は右腕と左目を失った…彼のデザインはただ武人である事を示しただけだと思っていたけれど、まさかそんな設定だったとは
以降東の騎士は皆時と共に狂い、当時のレーヌを殺そうとし、死ぬまで捕えられる事となる。誇り高い軍人である東の騎士にとってそれはあまりにも耐えがたい事であり、「東の騎士だからそうなる運命」として避けられない事がギスランに与えられた理不尽と言うテーマの内容
正直その設定の重さで胃が死ぬかと思った
そんな理不尽を背負わされたことに対してのギスランの慟哭シーンは中の人の演技の素晴らしさも相まって、お腹にグゴォとくるものがあった
またこのルートではマダムエンジュの設定も明かされます。そのマダムと言う名前に全く引っかかっていませんでしたが、マダムであるという事は人妻なんですよね…彼女は4代前の東の騎士の妻であり、東の騎士が辿る惨劇を目の当たりにしてきた。これもこれで彼女に対して与えられた理不尽であって、またお腹が痛くなった
結果、ギスランは歴代の騎士通り狂ってしまい、花人を多く殺してしまう。ただそのきっかけを与えたのはマダムエンジュ。彼女は自分の死んだ夫の愛刀を囚われたままのギスランに与え、狂う手助けをした。つまり、ギスランが花人を殺してしまったのはオルフェ同様事故であり、この時点ではまだ彼の責任は薄い
ただその後辛うじて正気を取り戻して、さぁどうするかという所で選ばれた選択肢が「ユベールを殺す」だったのには正直たまげた
理屈としては話の流れ上理解できるけど、ここはやっぱり賛否分かれるポイントだと思う
私としてはユベール自身も色々やって来ていて、ヴィオレットを殺す事をある意味目的としているキャラなのでまぁ因果応報って奴よね…と言う気分ではありますが。ただ彼らがユベール、そしてその後多数の花人の命を奪う事で自分たちの命と思いを守ったのも事実なので、そこをどう受け取るか、プレイヤーによって大分意見が別れそう
あとは単純に最後が少し駆け足気味だったので、そこはちょっと残念かな
ただ私としてはこの愛情エンドより忠誠エンドでテンションフルスロットルしていた
まず騎士としてレーヌ・ヴィオレットの決断を受け入れ、彼女の足下にキスをしつつ涙するギスランのスチルでアホかという程興奮した。あのスチル最高
レーヌとしての身をミレーヌに明け渡し、それによってギスランを救ったヴィオレットと、彼女に忠誠を誓ったギスラン。ヴィオレットがいなくなって暫くしてから、彼女を取り戻す為女神ミレーヌと戦う為にエンジュに譲られた刀を手にするギスランの姿で終る
騎士としてレーヌ・ヴィオレットに仕えた彼の揺るぎなさが好きだし、「神に挑む」なんて言うどう考えても頭のおかしい手段に走ってしまったのが「東の騎士は狂う運命にある」と言う設定がここでも生き続けているのを感じて、その理不尽さが好き
・レオン
メインヒーローの彼ですが、正直シナリオ的には一番微妙だった
最初期からワンコでヴィオレットへの好意が溢れ出まくっている彼ですが、その割に意外にも空気は読めるし、引くべきところは引けるキャラクターだった。他キャラと良い感じになった所を邪魔する…って言う言動はほぼ無かったので、そこにはホッとした
彼の体には破壊の神ゼロが宿っている。彼はミレーヌがかつて愛し合った神であり、レオンがヴィオレットに一目惚れしたのはこれが影響しているとも語られ、彼のアイデンティティーが揺らぎかけますが、それでもこれは自分自身の思いだとしっかり貫き通したレオンは偉い
本来騎士候補じゃなかったのに騎士になれた理由付けとしても、破壊神ゼロの設定は割と納得だった
ただ彼のルート最大の問題は恋愛ルートの纏め方
終盤、まず騎士として限界を迎えたのはギスラン。理由は当人ルートで語られた通り。彼は自ら命を絶つ事でレオンとヴィオレットに「犠牲無くしては何も救えない」と教える
その後レオンたちが選択したのは「残った騎士二人を殺し、地上を全て滅ぼし、花人も消し、パルテダームに二人だけで生き残る事」だったのには「えぇ…」となった
確かに二人に残された他の選択は自分たちが死ぬ事と同義なので、まぁ死にたくなければ仕方ないのか?と思いつつも、でもその宣言を聞いた残りの騎士二人がアッサリ了承したのにはもっと混乱した
確かに神の卵たるオルフェは普通の人より博愛精神みたいなものが強く思えるし、ルイもルイで生への執着が少ないキャラだけど、それにしてもあっさりし過ぎでは???とか考えてる間に騎士は死に、地上は滅び、世界に二人だけ残された……なんだこれ…アダムとイブか……?そう言えば序盤で林檎食ってたのはこれか…?いやだがしかし……とグルグル考えてるままタイトル画面に戻ってきた。私はなにか凄いものを見た気がする
その後おまけSSを読んで「アダムとイブと言うよりはイザナミとイザナギだな」と思いましたが、それはともかくとして色んな意味で凄いルートだった。話の流れもそうだし、単純にシナリオが他と比べると雑と言うか、色々端折った感じが有るのもマイナスポイントだった
忠誠エンドではレオンはゼロにその身を明け渡し、その代わりとしてヴィオレットには綺麗なまま、何も知らぬままで過ごしてほしいと頼む。明確な描写は有りませんが、おそらくゼロによってヴィオレットはレオンとの記憶全てを破壊された、と言う事なんでしょう。これはこれである意味で美しいバッドなのかもしれない。バッド扱いじゃないけど
・ルイ
底知れ無さが有り、どこか浮世離れしている彼ですがそこにしっかり設定が有ったのは驚きつつも納得がいく良いポイントだった
彼のルートが単純にシナリオだけを見たら一番纏まっていると思います
視野が広く、他の人が口にしない事にも敢えて踏み込んでいくというのはどのルートでも共通していますが、それは単に彼が貴族として過ごしてきたからと言う訳ではなく、過去何度も転生を繰り返し、その全ての生の記憶を維持しているからと語られます
まだ人が神と普通に接する事が出来た古の時代、希求の女神が当時のルイに恋をします。けれどルイはこれを振る。その結果女神に呪いをかけられ、ルイは何度も死と転生を繰り返す人生を送っている。なかなかにハードな人生です。そして彼の博識さ、底の知れなさに大いに納得した
自分の生、そして故郷カンパニュールに対しての愛着が薄いのも同時に納得です。彼にとっての救いは完全なる死と言うのが物悲しい
このルートは蝶である裏波が輝いてもいました。彼は浅葱にちょっかいをかけていますが、これが彼なりに本気の恋だったのが分かったのが嬉しいと同時に、彼の言う様に何人もの騎士の死を見届けつつも諦めようとしない浅葱の歪みみたいなものに気づいて少しだけゾッとしたりもした。辛い状況を見続けながらもまっすぐであり続けるというのは、逆に恐ろしさを感じる
ルイルートは唯一、女神ミレーヌを口で言い負かす事が出来ます。これは彼が神と言う存在がどういうものか理解していたからこその勝利だった訳ですが、正直ここは大分スッキリした。他のルートは基本的にミレーヌの方が優勢だったから、4人目攻略と言うのも有ってやっと…!と感動していた
ただ一難去ってまた一難、ヴィオレットの身には変化が生じ、それによって苦しむ事になる。ここからの二人のやり取りは凄く見ごたえが有ったし、ヴィオレットが前向きになったからこそ彼も救えた、と言うのが分かりやすい
同時に、己の冠となっている名に沿わない言動は出来ない、と言う神の生きづらさを少しだけ哀れにも思うルートだった。同情は一切しないけど
恋愛エンドは一番失ったものも少なく、穏やかに萌えられるかと。ただどちらにせよこの場合も結局は時間を延ばしただけであり、いくら美しくとも完全な解決には至っていないのがなんとも
忠誠エンドではルイは死を選び、故郷カンパニュールと共に滅びる事でヴィオレットを助ける。このエンドはヴィオレットとのやり取りより、裏波とのやり取りの方が素敵に思えてしまった
・ユベール
プレイ中何度貴様ァ!と思ったか分かりませんが、彼も彼で女神ミレーヌの無慈悲さと傲慢さの犠牲者なんだよな…と思うと何とも言えない気分になる
とは言えやっぱりこれまでのルートでのイメージから、どうしても彼を恋愛対象としては見れず、ヴィオレットとの認識の差にちょっと苦しんだルートでもありました
ヴィオレットにとっては育ての親であり兄であり師であり最愛の相手ですが、その奥から見ていた私としては「いや何度も殺そうとしてたし、そもそも殺す前提で動いてたやつだし……他の男にした方が良いよ…?」と考えてしまう
あとはユベールを選ぶと言う事は騎士たちを捨てるという事とほぼ同義だった事です。彼らの落胆や諦め、怒りを露わにした態度を見るのがなかなかに辛かった
結果どうにかたどり着いた大団円っぽい恋愛エンドでも、騎士達との繋がりは断たれてしまったので哀しみを感じる。と言うかだからこそ大団円とはなかなかに言い難い。結局ここでも地上とパルテダーム、両方を救う事は無理なんだな…と残念に感じた
(ただギスランとの別れシーンでの「命じます」「……拝命した」のやり取りには興奮していた)
愛情エンド後の子ベールには心底びっくりしたし、急に育ったのにもびっくりした。子ベール可愛かったのに!ちくしょう!
ただユベールの見どころは忠誠…ではなく服従ルート
服従と言うワードを見た時はてっきりユベールに服従するのかと思いましたが、まさかの逆だった
騙されていた事を知ったヴィオレットはユベール、そしてミレーヌへの怒りを募らせる。けれどユベールへの恋心は捨てられず、ならば、と言う事で彼の心をミレーヌから奪う為に動き出す…復讐ルートかな?と言った感じで正直興奮した
騎士を切り捨て、双子蝶からも離れ、唯一協力してくれるマダムエンジュの手を借りつつ、一人己の恋心に狂う姫様。美しかった
ここでようやくミレーヌの存在を蹴落とし、同時に狂ったユベールを手に入れた狂った姫様。地上は放置され、騎士は枯れ、花人も残りわずかな滅びゆく世界で幸せに過ごす狂った姫様。ラストになかなか凄いエンディングを見た気がする
シナリオは何度も言う様に人を選ぶと思うし、その上で一部ルートは雑さも目立つので更に賛否両論感が増す作品だと思います
萌え的にはオルフェとギスランが拮抗していて、ルートの纏まりとしてはルイがやはり良いかなと言う印象
ここまで「望むものを手に入れるためには何か他の物を切る捨てるべき」と言うのが徹底して設定されているので、仮にFD等で「後顧の憂いも何も無くみんなハッピー☆」な話に持って行くのはなかなか難しそうな気がします
色々思う所も有りますが、キャラは良いし、エンディングの中には最高にテンションが上がったのも有るし、そして何よりここまで没頭してプレイしたのは久々でした
人に気軽にお勧めは出来ませんが怖いもの見たさが有るなら是非…とスッと差し出したくはある
(10月1日 追記)
発売から1か月以上経ち、色々自分の中で整理が付いてちょっと感想も変わったので
公式ブログのこの記事を見て、大分腑に落ちました
と言うか、理解が及んだと言った感じ
≪パルテダームの創造主であり絶対的存在である女神ミレーヌと、グラースと言う力の設定がある種の足かせになっている気がします
特にミレーヌはその存在が大きすぎてヴィオレットが越えてはいけない者になっているのがシナリオ上痛い。ひとつでも全力でスッキリ出来るEDが有ればよかったんだけど≫
以前のこの感想はまだ作品の世界観…と言うか、設計を理解出来てなかったんだなぁと
OPの演出もそうだけど、全体的に舞台作品の様なんですよね
己の愛に酔い、その為に他の全ても犠牲にする傲慢な女が主人公の舞台を作り上げてた訳ですね
自己投影派お断りどころでは無いレベルでユーザーサイドの介入を遮断しているのも当然。舞台に上がれるのは役目を負った演者だけ
それを少し離れた所から見る様な感覚を乙女ゲーで得たのは初めてだったので、だからこその当初の戸惑いだったんだなと、今はスッと理解出来ます
地上の命を奪う事の描写の軽さも、ある意味当然で。役名も無く演者も宛がわれていない存在はそりゃあ軽んじられるし、描かれる筈もない
大きな箱庭の中でじわじわ滅んでいく世界である以上、FDはやっぱり無くて良いかなぁ
FDで色々問題解決しました!ってなっても、世界設計上滅ぶ事は止められない訳ですし。蛇足になりそう(出たら出たで買いそうだけど)
未だに何かと賛否両論っぽいですが、この世界観も含めてやはりやって良かったなと思える作品でした
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木下あんこ
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