乙女ゲーやシチュCDの感想諸々
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前作で残った謎をしっかり回収しつつ、けれど切なさの残るお話でした
・シナリオ
ボリュームは前作同様初回3時間、二人目以降2時間程でクリアできます
バッド回収は相変わらず楽なのでフルコンプまでそう時間もかかりません
前作で気になった恋愛が関わらない部分での描写の薄さですが、今作では気になるシーンはあまり有りませんでした。全体的にアッサリ気味なのは変わりませんが、初回プレイ中に突っ込みたくなってしまう様なシーンは無かったです
今作も全てのキャラで切なさの残るエンディングとなっています
目下の問題は解決するし、恋愛的にも結ばれるけれど何もかもが100%上手くいった訳ではない。前作でも有ったこの切なさが好きだったので、今作でも維持してくれていて良かった
瑞希はやはり辛い現状・過去を勢いで打破する事が出来るキャラでは有りません。その分、追い詰められた状況でも「私にはあの人に立ち向かうだけの術も、特別な力も無い」と冷静に見る事が出来ている。だからこそ大事な人を救うためには自分が犠牲になるしかない、と言う結論に至ってしまう彼女の選択も自然なものに見えました。もちろん、それが正解ではないけれど
前作で放置されていた瑞希の両親と祖父の関係・村に残る伝承の謎・文乃は結局何をしたのか・紬の恋の相手は誰なのかと言う謎が全て回収された事にはほっとしました。ただその分、妖狐組の真相との遠さが改めて引っかかってしまった。一応単体でもプレイが可能と言う設計である以上はもう少しその辺のバランスが取れていると嬉しかったかな
・システム
東雲のみ制限がかかっています
私は旭→日向→東雲でプレイし、東雲の制限は日向クリア後に解放されました。東雲ルートの内容を考えると、多分旭・日向の両方をクリアしないと東雲攻略はダメだと思いますので彼お目当ての方はご注意を
相変わらず全体のデザインはシステムです。やはりもう少し遊び心が欲しい…ただプレイするうえで必要なものは全て揃っているので快適にプレイが出来ました
オマケSSは相変わらず最高
以下ネタバレ
・旭
彼が何かを背負っているのは分かっていましたが、思っていたよりも重いものだった
瑞希と親しくし過ぎない様に気を付けながら、でも瑞希が優しく接してくれるからつい踏み込みそうになってしまう。そしてそんな自分に傷付くし、自分の欲は押し留めようとしてしまう。とにかく旭には幸せになって欲しい気持ちでいっぱいだった。なので中盤以降の瑞希への同調率が物凄く高かった
自分の母親を旭が殺したと知ってしまった瑞希のショックと葛藤、そしてそれをどう抜け出して旭に寄り添うようになるのか。この流れが自然で納得のいくものだったのも良かった
仮にも母親を殺された訳だから、あっさり受け入れてしまうのはやはりおかしいだろうし。ここの二人のやり取りは旭ルートにおいての肝だった気がする
旭自身も自分が瑞希の母親を殺したと、当然の事実として思っているのがやっぱり重い。何が辛いって、この事は他ルートどころか妖狐編でも変わらないんですよね。そして旭がそうじゃなかった、と知れるのは当人ルートと東雲ルートだけ。それ以外ではずっと、自分が瑞希の母親を殺したと思いながら、辰蔵の式妖として生きつづけている。しんどい
旭が自分が瑞希の母親を殺したのではないと知ってからの葛藤も良かった。自分の事ばかり考えている、と吐露する旭と、それをちゃんと受け止める瑞希のシーンが好き
妖狐編からの彼の瑞希への態度から当然何かあるだろうとは思っていましたが本編開始以前で接点が有る事と、彼の右手の鈴の付いた赤紐が繋がった事でより一層切なくなれた
瑞希は自然と旭に惹かれ、けれど旭がその記憶を消して、再会後再び記憶を消されたけどもう一度自然に旭に惹かれていってる。ある種の運命の様なものを感じる関係で好き
瑞希の事を思って彼女の記憶を消した旭と、旭の為に彼の記憶を消そうとした瑞希。この選択に紬・サカキの二人の存在が絡んでくるシナリオの流れも好き。私は何かしてもらいたいからサカキと一緒にいる訳ではないという紬の台詞はサカキ・旭・瑞希の全員にも繋がるものだっただろうし
龍神が唐突に姿を消して贄になる必要が無くなった事にはちょっと肩すかしを食らったというか、解決法それ?と思いましたが、その理由に関しては東雲ルートでちゃんと触れられたので取り敢えずは良かった
旭の「ですがどうか、俺を嫌わないでください。俺は、お嬢様に嫌われる事が、死ぬよりずっと恐ろしい」と言う台詞がとても印象に残っている。彼のこれまでの瑞希への態度と、彼が信じていた記憶を思うととても重く感じる台詞だった
ED後、旭はゆっくりと自分の欲を受け入れ、それを少しずつ表に出していく事が出来る様になりそうで嬉しい。瑞希の母親を殺してしまったという記憶はずっと残るだろうけど、それと上手に付き合いながら、瑞希にもっと甘えたり弱さを見せたり、我が儘を言う様になっていってほしい。おまけSSで「俺は寂しかったのか」と気付いた様に、自分のいろんな感情を知っていってほしい
・日向
彼は旭以上に瑞希との付き合いが長いから、彼女が記憶を失った事へのショックも殊更大きいので序盤のぎこちない感じがまた切ない
ただ正直、個別序盤は日向よりもうさぎの妖に意識が向いてしまった。普通に絵も可愛いし、瑞希に懐いていってるのも可愛らしい。そして話の展開的にどうなるか、そこそこ早い段階で察してしまったのもあって読み進めるのがしんどかった…小動物の死はキツイ……
けれどこの事で瑞希と日向の関係が自然と変わっていく流れは良かった。日向は瑞希が記憶を失った事で傷付き、裏切られた様な気持ちになってしまっているけれど、当然彼女の事を嫌っている訳ではないので、何かきっかけが有ればお互いの歩み寄りが可能だっただろうし。瑞希が犬の姿の日向に怯えを見せた事をきちんと謝るのも良かった。そうやってひとつずつすれ違いを解いていく丁寧な流れだった
瑞希を連れて逃げてからの強引なキスには驚きましたが、あれも全ては瑞希の為を思っての事なので変な不快感は抱かなかったし、何よりその後の「俺とのキスが嫌なんじゃないのか」のやり取りは大層可愛らしかった
日向が瑞希の母親から受け取った勾玉の力を使う事で辰蔵の力が消え、結果的に彼の式妖ではなくなった事で旭は間接的にひとつ救われたけれど、それでも瑞希には母親を殺した相手と思われたままだし当人もそう思っているのがやはり切ない…他ルートだから仕方ない事とは言え、恐らくはそのまま二度と会わないだろうし…
このルートでの瑞希の最後の選択には正直驚いた。そもそも唐突にEDムービーに入ったので、その時点では何が起きたか分からないという意味でもびっくりした。大分強引な解決法に思えたけど、でもちょっと落ち着いて考えてみれば割と納得が出来た。と言うのも、彼のルートでは瑞希の母親が妖だった事が判明して、そこで父親との関係性が分かるけれど、これって性別が逆なだけでそのまま瑞希と日向の関係なんですよね。だからこそ、瑞希が妖になるEDはある意味とても自然だったのかもしれない
これまで生きてきた世界と離れてしまうけれど、日向と一緒にいる事が出来るというのは瑞希にとってとても幸せな事だろうし、それがきちんと叶ったのは本当に良かった
そして拗ねた日向の長考の末の「……すき」がとても可愛らしかった
・東雲
恋愛としての要素は少し薄めで、けれど残った謎は全て回収した綺麗で切ないEDだった
彼は妖狐編からどのキャラに対しても優しく、ある種の慈愛に満ちていたけれど、その理由がようやく分かった
学校に行けなくなってしまった葵への態度が東雲のそう言う性格を特に良く表していて好き。葵を支えつつ、彼を追い詰めるような事は絶対に言わずに見守る。本当に優しかった。ただいじめっ子に対して説教をしに行こうとする直と珍しくそれに乗っかる市丸には笑った。見た目の威圧感が凄い二人が行くのは本気でトラウマになってしまう
神さまは何でも出来る訳ではない。何かをするには制約や対価がいるし、禁則を破ればその罰も受ける。そして神は人々の信仰が有って初めて成り立つという設定がまた切ない
このルートでは旭が自分が瑞希の母親を殺した訳ではないと知り、同時に辰蔵が自分の息子を殺したのはその嫁ではないと知る事が出来る。そのきっかけが瑞希が高耶に対してしっかり立ち向かったから、と言うのがとても好き
高耶に対してはどのルートでも言われっぱなしだったけれど、東雲とのやり取りで瑞希の中にも意識の変化が生まれ、自分自身が傷付くと分かっていながら高耶に立ち向かう事が出来た。そしてそれが高耶の気持ちも動かしたからこそ旭・辰蔵が真実を知る事が出来た。瑞希の変化を分かりやすく感じられた。高耶自身も哀れだったと思うので、消える前に何かしらの救いを感じていたら良いな
宝物探しのお遊びが最後の最後で生きてくるシナリオの流れも好き。必ずまた会えると信じ続ける事は大変だけど、二人にはまた一緒に美味しいものをいっぱい食べてほしい
妖狐編で残っていた謎がどうなるか心配していましたが、思っていたよりも綺麗に、全部回収してくれたのでほっとしました
全体に漂う切ない空気も好きですし、次回作もこういう方向性だと良いなぁ
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プロフィール
HN:
木下あんこ
性別:
女性
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