士業エドテンセイ.com 隠れ蓑 ニル・アドミラリの天秤 クロユリ炎陽譚 感想 忍者ブログ
乙女ゲーやシチュCDの感想諸々
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前作の雰囲気を壊さず、更に作品を掘り下げる良い続編だった


・システム
基本的なものは前作どおりです
相変わらずの天秤と行路のお陰でバッド回収も楽で有り難い
今回は隠し以外は制限が無いので、そこも良かった
一部ルートでダミヘの様な演出が有ったのには驚きました
甘いシーンではなく、ゾッとするような部分だったので正直普通に怖かった

・ボリューム
今回は冒頭におさらい+補足部分を終えたらすぐに個別ルートに入ります
大体各3時間程でしょうか。体感的には前作とそう変わらない長さでした
FDではなく、しっかりとした続編と言える長さで、やりごたえは十分かと
バッドは基本各ひとつだけ。隼人だけ例外的にひとつ多くなってます
今回も手記が全てのキャラに用意されているので、サブキャラの心情もしっかりと把握出来ます
オマケ要素としてアリスパロが有りますが、夢落ち的なもので長さとしては大分短いです。ただイラストもシナリオも可愛らしく、本編が割とシリアス寄りな分ここで一息つける感じで良かったです

・シナリオ
今回もCERO:Dでしたが、正直そこまでの描写は感じませんでした
視覚的な性的な描写は前作より控えめになっているし、暴力描写もそれほどでもない。Cでも十分だったのでは…?という感じ
ただスチルにはなっていないだけで、濃いめの性的な描写は有ります。主にバッドで
倫理的に大丈夫?となるのも少なからずあり、なかなか精神的に抉ってくるバッドですのでそう言ったものが苦手な方はご注意を
完全に前作からの続きとなっているので、今作からプレイするのはお勧め出来ません
ご新規さんはきちんと前作をフルコンプしてから今作をプレイしないと話に着いて行きにくいし、何よりも面白さが半減してしまうと思います
ツグミの成長が感じ取れたのも良かった。いい意味で図太く、強くなっています。なかなか逞しい御嬢さんになっていて見ていて楽しかった


以下ネタバレ



拍手[3回]




まずは先に愚痴を

ヒタキが本当に鬱陶しくて仕方が無かった
前作の感想で「攻略対象との関係を邪魔してきそうで嫌だな~」とか言っていたけれど、案の定だった。というか、心配していた以上に鬱陶しかった
特に滉・翡翠・隠しルートが酷い
こんな男は姉さんに相応しくない!別れてよ!!と散々駄々をこねる。信じられないけど15歳なんですよね、彼。色々有ったせいで成長が遅れ気味に…と思おうにも、あまりにも言動が幼い。小学生だとしてもキツいレベル。滉・翡翠が好きなキャラだからこそより一層のストレスだった
ツグミや周りのキャラが彼を良い子と表しているのがさっぱり理解できない。本当に良い子だったら姉にこんな事は言わない筈だろうに。仮にそう思っていたとしても、口には出さず内に留めておくなら「良い子」と言われても同意できるし、抱え込んだ結果爆発してしまいヤンデレに…なら話の流れとしても納得だったのに
前作と違いツグミがきちんと諭そうとしていたのは良かったです。ただ全く効果が無くて悲しい
怪我も治り元気になって出番も増えた分、より一層のしんどさだった。1年経ってるし多少成長してるかも…とか一縷の希望を抱いていた私は甘かった
とは言えヤンデレ弟好き勢に向けたバッドが、恐らくは隠しルートで有るんだろうなと思っていた。単に私の琴線にこれっぽっちも触れなかっただけであって、そう言うのが好きな人向けのサービス要員ならまぁ分からなくもない…と思っていたんですが、実際に有ったのは「状況の把握が全くできていない子供が引き起こしたただの事故死エンド」だったので脱力感が半端無かった。ヤンデレにすらなり切れないまま、ただの鬱陶しい弟のまま終わってしまった。その上、真相以外のルートでも彼の言動が原因でバッドになったりしているので、より一層腹立たしい
挙句手記を読む限りでは彼はやっぱり何の成長も変化もしていないので、今後また続編等が有ったら普通にあの調子で絡んできそうで恐怖を感じる。勘弁して頂きたい









・星川翡翠
相変わらず萌えの塊で満足
彼の年下コンプレックスは根深いものですが、覆し様が無い部分なので上手な向き合い方を見付けるしかあるまい…と翡翠も頭では分かっているんでしょうが、感情が追いつかず気持ちを持てあましてる様が良かったです
ツグミは「そのままで良いのに」と思っているし、それが愛情故の気持ちだと分かってはいてもやっぱり気になってしまうポイントなんだろうなぁ
そこを更に刺激するように登場する父親の言動で、翡翠の精神が更に揺さぶられる流れと、本当の父親の言動で落ち着きを取り戻すオチが綺麗だった
前作で翡翠は父親の事は全然気にしていないと言っていたし、実際それは本心だったんでしょうが、いざ目の前に「父親」が現れて、自分を子供と扱う言動をしたらそりゃあ動揺もする。ツグミと離れる事になるかもしれない状況になって、その判断を彼女に委ねる事で自分が愛されているという証拠を得ようとした彼の弱さと狡さが好き。それをきちんと自覚して、反省をしている点も含めて良い
年下コンプレックスと見た目の問題も有って一歩引いてしまう翡翠に対して謎のおせっかいを発揮する累には笑わせてもらった。お前そう言う事言える奴だったんだな……。そして相変わらず良いサポート要員だった紫鶴と杙梛も好き。彼らはからかいつつも真っ当に翡翠を気遣っていて、それを理解はしつつも素直に受け取れない翡翠の構図が、まさに「大人と子供」で上手い
昌吾と友人関係を築いていっている描写があったのも良かったです。不器用にデレる昌吾が可愛くて笑った。父親との出会いも含めて、狭い環境で生きてきた翡翠の世界が確実に広がっていっているのが分かって良かったです
ステラ特典SSによると遅めの成長期がやって来たようで、今後どう成長するのか見てみたくてたまらない。父親程じゃないにしてもしっかり大きくなるのかなぁ
翡翠と対となる存在の雪加は不憫な環境で生きてきた子なので、グッドで救いが見えたのは良かった。ただその後プレイした隼人ルートでの彼を思うと、翡翠ルートでの救いはちょっと軽いというか、もう少し翡翠と雪加二人のやり取りが見たかったかなと思ってしまう。友達、というには今一歩足りない関係に思えてしまうのが、少し残念
そしてこの雪加、演技が少々拙いのが気になる。もう少し凄みと言うか、空恐ろしさを感じる演技で聞きたかった


・鴻上滉
相変わらずの言葉足らずですが、それでもツグミにはしっかり好意を向けているし、隼人たち他の仲間に対しても大分距離が近くなってるのにほっこりした
夏祭りでツグミにしっかり真面目に叱る滉が好き。嫌な事や気になる事はきちんと言え、と言いつつも自分のそう言った感情は隠そうとする彼の弱さも好き。生い立ちや前作でのあれこれ、そしてヒタキの酷過ぎる言動を考えれば、彼がそうやって隠そうとする事も納得がいくのが切ない
その後のイベントで、滉の無言のリアクションを見て内心狼狽えつつ軽く突っ込むツグミのやり取りが気に入ってます。お互い心の中で色々考えながら、踏み込んでいいか迷ってる感じなのがもどかしさも有るけど可愛らしい
滉が自分は思っているほど冷静じゃないと理解しているのが分かったのも良かった。淡々としているけど、いざという時のストッパーはあまり強くない。感情を割と素直に表に出す隼人の方が、その力は強い対比の描写としても分かりやすかった
千鳥とのやり取りも双方不器用で可愛らしかった。彼女は先にツグミに対して懐きましたが、終盤にはきちんと滉の事も認めていたので、今後の関係性が楽しみ
そして翡翠ルートに続きナイスアシストをした紫鶴と杙梛は本当に愉快だった。滉を煽って、彼にキレられているのに二人はウキウキ楽しそうにしている構図には笑った
終盤ピンチの局面で(わたしは本当によく銃を向けられる人生ね)なんて呑気に考えているツグミのも笑わせてもらった。随分強くなって…。その後の脅しも堂々としていて、ツグミの成長を改めて実感できたという意味でもこのルートは見応えが有った
最後、自力でヒタキを黙らせた滉の台詞も良かった。これからはお互いの思っている事をきちんと相手に伝えられる様になるだろうなと素直に思える纏めだった


・鵜飼昌吾
ツン要素が大分薄まり当人はデレデレですが、予想外のNTR的展開にちょっと動揺したルートでもあった
ただ婚約者の彼女は実は累ルートでも出番があり、そこで彼女の背景がしっかり語られます。なのでNTRネタはちょっと…という人は先に累ルートをプレイしておくと、心穏やかに見られると思います
それはさておき、このルートは事件の内容が随分と重い話だった。流石に死後に…というのはなかなかに衝撃が大きい。そしてその被害者の感情をリアルに感じ取り、毎晩苦しむツグミの描写もきつかった
最終的にきちんと解決するので変な後味の悪さは有りませんが、過程のヘビーさにちょっと疲れた
昌吾がフクロウじゃない自分に苦悩する描写が有ったのが良かった。その上で、自分もフクロウに入る!とか子供みたいな事は言い出さずに、出来る事を出来る範囲でやろうとする姿勢が好き。やっぱり彼は賢いし、相応に大人な人なんだろうなぁ。婚約者に対しての言動も、出来る限り彼女に失礼が無いよう気を使ってるのが分かるのが彼らしい
婚約者に「どちらかを選べ」と言われたツグミがしっかり悩み、考え、どちらも手放せないと結論を出したのも良かった。滉ルートとは違うツグミの成長を感じられたし、難しい事だと承知しつつもその選択をしたツグミの姿勢は、婚約者の彼女にとっても大きな影響が有ったからこそのあの最後の別れなんだと思えて良い
犯人の彼は多少同情できなくも有りませんが、やらかした事が大きすぎて流石にちょっと…といった感じ。手記を見る限り心情の変化は無さそうだし、どうしようも無い感が凄い。ただ隠しルートであっさり死んだのには流石に驚いた


・汀紫鶴
色んなルートでサポートとして輝いていた紫鶴ですが、当人ルートでのちょっとした羞恥プレイには笑わせてもらった。あれは恥ずかしいって
前作での事もきちんと解決しているので、彼の精神は大分安定しています。その上でツグミをからかったり、逆に嫉妬したりして、可愛らしい部分が見られて良かった。特に嫉妬の仕方が良い。「茶封筒にレポート用紙なんて僕には真似できないからね」という台詞が印象に残っている。大人で色々知っているからこそ、武骨な好意の表現方法に焦れる様子、とても良い
ただ事件に巻き込まれ、ついでにツグミからも少し逃げてしまったところが彼の繊細さを感じて、それはそれで好き。解決したとはいえ前作での事が完全に彼の中から消える訳がないというのもしっかり分かるし。ただ逃げ込んだ先である杙梛の店でのやり取りには笑ったけれど
終盤の鵠居とのやり取りは見ごたえが有った。上手く事は運ばないと理解しつつも辞める事も逃げる事も出来ない鵠居の気持ちを理解した上で止めようとするのが、強さと優しさを同時に感じられて良かった。と同時に、バッドのその後を思って凹んだ。SEがエグいなぁ…
ラストのスチルの色っぽさは前作同様で気に入っている。例の羞恥プレイの影響で可愛い照れ顔も同時に見る事が出来たのが有り難い
獄中の笹乞との関係も良かったです。紫鶴の少し不器用な気遣いも良いし、それを素直に受け止める事は出来なくとも、救われている笹乞の姿に泣きそうになった。相変わらず紫鶴のルートでは作家の業が見られて良かったです


・鷺澤累
正直前作で萌えを得られなかった彼ですが、その印象は今回もあまり変わらなかった
ただ小瑠璃ちゃんを含めて薔子さんと親しくなれたり、累と薔子さんの親子としての関わりや、仁科と千鳥のちょっとしたラブコメを見られたのは嬉しかった
このルートでは亡霊としての四木沼が出てきますが、彼も相変わらずですね。あんな立場なのに相変わらずの余裕の態度で謎の安心感が有る
累のルートで残念なのは、最後諸々の問題を解決に導いたのが累ではなく薔子さんの頑張りが大きな要因になっていた事です。薔子さんが前に進めたことは本当に良かったし、グッド後の流れも好きだけど、でももう少し累当人がツグミと頑張ってほしかったな…と。薔子さんの成長ストーリーになってしまっている感が否めない
ここでは昌吾ルートで出てきた例の彼女の真相も把握出来ますが、こちらもなかなかに重い設定だった。ただそれをフォローした累の台詞が彼らしくて好きです。前作での翡翠の見た目に対してのコメントもそうですが、他のキャラとは違う見方をしてるが故の言葉選びが良いですね
バッドが唐突、かつえぐくて驚いた。四木沼夫婦的にもしんどすぎる


・尾崎隼人
何よりもまずは隠しと相乗りルート状態じゃなくてほっとした。本当に良かった
彼は相変わらず精神が安定していますね。お陰で秋沙が絡んできても全く動揺せず見ていられる。ツグミは気が気じゃないでしょうが、プレイヤー視点としては落ち着いていられてありがたい
彼のルートではやっぱり葦切と小瑠璃ちゃんのやり取りが見られて嬉しかったですね。モダモダ悩む葦切を全力で煽る隼人、その後のフォローも含めて流石だった
翡翠ルートに続き雪加が出てきますが、こちらでは友情がどうのなんて呑気な事を言っていられる状況ではなくなっていてその差にちょっと驚いた。ただ雪加が隼人に執着するのは、ある程度理解出来たので違和感はあまり無かったですね
雪加もどうしようもない存在ではありますが、望んでそれを選んだ訳ではないので多少同情してしまう。途中四木沼に場を乱されて悔しがる様子を見せていましたが、年相応な感じがして良かったです。その分岐のバッドは鉄板ネタですね。その後の事を考えると重いですが、シチュエーションとしては美味しいものが見られた
その雪加に攫われたツグミに対しての隼人の態度が、痛々しいながらも見応えが有って印象に残っている。その後、ツグミに対して自分の弱さをきちんと見せ、二人でしっかり前に進むと決めていたのが良かった。二人の成長と変化を同時に感じられて好き
秋沙・鵠居の関係性や背景がきちんと分かったのも良かったし、全体の着地として非常に綺麗なルートでした








・鵺野桐彦
「笹乞が逮捕されたから店は仕舞いになった」で済むところをわざわざ新しい店主として出した上、乙女ゲーでメジャーな声優を宛がった以上何かあるとは思っていましたが、予想以上に濃くて重いキャラだった
他ルートでの稀モノ恐怖症な鵺野には正直笑わせてもらった。中の人のドモり演技も素晴らしかった
ただ思い返してみると細かい所で素の彼が見える瞬間が有って、ズルい描写だなと感じられて良い

彼の亡くなった弟が「隠のやった事の濡れ衣を着せられて死んだ青年」だと言われても正直すぐには思い出せず、そんな人いたっけ…?と思ってしまったけれど、それこそが鵺野が抱いた怒りや復讐心の大きさを分かりやすく表していて本当に構図として上手い
前作をプレイしたのが1年以上前だから忘れてる…という有るけど、でも前作プレイ中もそこまで強く印象に残った記憶が無い。なんとなく可哀そうだなと思った記憶があるが、その程度だった気がする
前作をプレイしたユーザーの内、一体どれだけの人が彼の事をきちんと認識して、覚えていたのか。私の記憶力と認識力がバカなだけで世のユーザーはしっかり覚えていた可能性も当然あるけど、でも覚えていなかった、気にしていなかった人の方が多いんじゃないかと思う。作中のキャラだけでなく、現実のプレイヤーの認識も利用した良い展開だったと思う
少なくとも私は、鵺野の弟の存在が判明したシーンで一気に物語に入り込めた

本人も言っていたけれど、本当に用意周到に動いていた彼が、弟の事をきちんと覚えている秋沙を傍に置き、彼女の裏切りに気付いてもそのままにしている未練が好きだし、最後の最後で咄嗟にツグミを守ってしまった甘さと彼女への情も同じ様に好き
やらかした事はとんでもなく酷いけれど、性根まで腐ってしまった存在では決してなく、本来の夜野田匠がまだきちんと生きていると分かるのが良い

ツグミに対しての情は確かに見て取れるけれど、それが恋愛感情と言えるかは定かではないバランスも好き
個人的には恋愛感情ではないかなと解釈している
ただそれとは少しずれたところで、ツグミに対して強い憧れと執着を抱いているし、どこか崇拝している様に見える。手記を読んだ後は特にそう思ってしまう
聖女は相手を選ばず救いの手を伸ばす、自分だけを救ってくれる存在ではないというあの最後の纏め方がとても好き
彼がそう言う感情を抱いていたと分かった上で心中バッドの流れを思い返すと、あれがあの時の彼にとって唯一の救いだったんだろうなぁ…なかなかに重いバッドだったけれど、ある意味でとても美しくて好き
グッドエンド後は隠同様収監されているし、やった事の大きさを考えると再び舞台にと言うツグミとの約束が果たせるか正直大分怪しいですが、それでもツグミはきちんとそれを覚えて彼の舞台を待つだろうし、彼も彼でそれを拠り所にしていくだろうと素直に思える纏めだった


このルートでは、冒頭でツグミが1年前に隼人の告白をきちんと断っている描写が有ったのも良かった
そこまで露骨ではないとはいえ逆ハー風に話が進んでいくので、隼人との事をなぁなぁにしたまま…というのは流石に引っかかったと思うので、一応の区切りをつけた上で展開してくれて良かった
自分を押し込めていたツグミの気持ちも最後には和らいでいたようだし、あのエンドのあと、誰かと良い感じになる…という可能性が見える明るいラストだった
ただ途中で隼人に宣戦布告する累には笑った。お互いにこやかに応酬してて怖いわ。そしてそれにこれっぽっちも気付かないツグミにはもっと笑った





相変わらずサブキャラクターが魅力的なのも良かった
葦切・小瑠璃ちゃんや四木沼夫婦が上手い所に納まったのにはほっとしたし、新キャラのそれぞれの動向にも楽しませて貰えた
千鳥は滉ルート以外でも少しずつツグミと仲良くなれそうなのも良い。仁科と上手い事いくのかどうかも気になるけど、その為にはまずは彼女の田舎出身・学歴コンプレックスをどうにかしないと…仁科も仁科でややこしいので、大分前途多難な感じかな
同情できる部分は有るけどそれでもどうしようもない存在な雪加や雀部もいい味を出していた。特に雪加は複数のルートでバッド要員として働いて、思っていたよりも深いキャラだった
隼人バッドのあれはお約束ではあるけど、なかなかに美味で良い。あのあとどうなるのか考えると絶望しかないけれど、彼にとっては一瞬でも救いになっていそうなのが良い
秋沙と鵠居の関係は四木沼夫婦に似ていて好き。手記での秋沙の口ぶりには鵠居への確かな情を感じるし、鵠居の方も彼女を特別に思っているのは分かりやすいので、その面倒くささも含めてなんだかんだお似合いに見える
手記はやっぱり良いオマケ要素ですね。本編で描写したら話が脱線してしまうサブキャラの心情にしっかり触れられる要素が有るのは良い。笹乞の手記には泣いた。そして杙梛の手記には少し驚いた。そう言う意味でツグミに対して大分本気だったのか…。前作ではそこまでの強いものは感じていなかったのでびっくりした





私は前作で隠に対して大分強い嫌悪と拒否感を抱いたんですが、似た様な設定・立場の鵺野に対しては同情と好意が大きくて、その差はなんだったのか気になったので、自分の中で消化するために少し纏めておきます

まず前提として、やらかした事の大きさには特に差が無いと個人的には思っている
被害者の数や動機には当然違いが有るけれど、それでも罪の大きさとしては変わらないと感じているので、ここで差は生じない

ただ、キャラとしての好みの差は否めない
隠は前作プレイ前からあまり興味が無く、プレイ中もそれは変わらぬままだったのであの真相ルート、および隼人ルート相乗り状態を見て素直に腹立たしく思ってしまった
一方鵺野はプレイ前から気になっていたし、正直見た目も好み。他ルートでのやり取りも見ていて面白く、ずっと興味を抱きつつ彼の言動を観察していた。このアドバンテージは無視できない
とは言えそれを考慮しても大分大きな差が有ったので、色々考えてみた結果、ふたつの理由を見付けた

ひとつ目は被害者の立ち位置
隠の被害者は「栞さんの夫」と「隼人の妹」
勿論それ以外にもいますが、大きく取り扱われたのはこの二人だった
一方の鵺野の被害者は「空舟櫂のファンの男子学生」と「錐合蓮のファンの女子学生」
正直なところ、「メインキャラの身内」と「名無しのモブ」の差は感覚的に大きかった
肉親を失った栞さんや隼人の傍で普通に振る舞って生活していた隠に、前作プレイ当時は酷い嫌悪感を抱いたのを覚えている。一方で死んだモブに対して特に感情を見せない鵺野に対してはそこまで強い感覚は抱かなかった
私は元々攻略対象と非攻略対象にしっかり線引きをして見たり、メインとサブで自分の中で扱いに差が出るタイプだったけど、主人公にとって近しい存在の身内と、見知らぬ他人とでここまで感覚に差が出るんだなと今回改めて認識できた
(モブではない雀部も鵺野の被害者だけど、彼はどこからどう見ても犯罪者であって「無実の一般人」ではないので自然と比較対象から外れていた)

ふたつ目は過程の描写の有無
前作では「碌な回想シーンも無いので隠に情が湧かないし、そんな彼を大事に思うツグミにさっぱり感情移入できない」と思いましたが、今回の鵺野にはその描写がきちんと有りました
昔からの知り合いではないのでツグミと鵺野がちょっとずつ親しくなっていく様子や、日常シーンの大した事無いようなやり取りを他ルートを含めて見てこられたので、やっぱりその過程の存在は大きかった
書店の店主としての鵺野は本来の彼とは言い難い存在ではあるけど、それでもきちんとしたやり取りが有ったからこそ、彼をどうにかして救いたいと、止めたいと思ったツグミに感情移入が出来て自然と読み進められた

このふたつと、あとはやっぱり隠が隼人ルート相乗り状態だったのは痛かったので、完全に単独の話だった鵺野はそう言う意味でも素直に楽しめた
逆に考えると、隠がやった事とルートの設計がちょっとでも違えば彼も鵺野の様にキャラとして好意を抱けたのかもしれない訳で、今更少し残念に思ってしまった

こうやって比較してけちょんけちょんに言っておいて説得力が無いと自分でも思いますが、今作の隠は素直に好感を持って見られた
今作の彼は精神的に落ち着いているというか、正気に戻っていて、その上で自分がやった事が影響して鵺野の様な存在が生まれたことに罪悪感を持ち苦しんでいる。正気のまま苦しむ、その描写がしっかりと有ったので、過去をきちんと受け止めてる様に感じられて良かった
量刑が考慮された、という前作の描写に軽くキレていたけど、今作では一応しっかり無期懲役(その内出てくる可能性も有る)を受けていたので、そう言う意味でも若干ほっとした
外に出てこられるかはさておき、正気のまま過去にちゃんと向き合い、燕野を話し相手にしつつ絵を描きながら、たまにツグミを思う隠はそれはそれで前作のオチとしては良いと思えた


没頭して一気にプレイしてしまいました
前作を少しでも気に入った人は是非プレイして欲しい作品です


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